【陳情のやり方:陳情の手紙の手本(約3200字版)】


【陳情のやり方:陳情の手紙の手本(約3200字版)】

(陳情の手紙、手本はここから始まりです。前述の通り問題点についてほぼ全て記載した上で引用もいれているのでかなり長くなっています。皆様のご意見なども追加して改良して下ればと思います)

前略 ○○党 衆議院議員 ○○××様

(「衆議院議員」のところは送る相手の先生が参議院議員であれば「参議院議員」と書いて下さい)


突然、この様な手紙を送る無礼をお許し下さい。

私は○○県××市に在住する○○××と申します。

この度は、現在開催中である第198回国会にて文化庁から提出される予定の「静止画ダウンロード違法化案(著作権法改正案)」に強く反対している意を伝えたいので、この度一筆取らせていただきました。

 
本法案はネットにアップロードされている、著作権侵害をしている画像やテキスト、プログラムなど全コンテンツの、ダウンロード及びスクリーンショット(画面撮影)を違法化するというもので、文化庁文化審議会著作権分科法制・基本問題小委員会が策定・立法化しているものです。

静止画ダウンロード違法化法案は「漫画村」等の海賊版サイトの取り締まりを目的として立案されましたが、実際には以下のような内容の法案になってしまいました。問題点を以下に列挙します。

1.「漫画村」のような海賊版サイトに対して効果がない。対象に二次創作も含まれようとしており、二次創作自体がほぼ出来なくなるので、知財専門家も漫画家も一貫して反対している。(※二次創作…既存の漫画やアニメなどを基にして、ファンが描いた絵や作品のこと。TPP交渉に際し、安倍総理が保護を訴えたほど広く一般的に行われており、日本のクリエイター環境を支えている。しかし一方で著作権侵害をしている可能性が指摘されている。)

 

この法案は「漫画村」のような漫画の海賊版サイトを取り締まろうという意図で立案されましたが、実際には漫画海賊版サイトには(既に対策が施されており)まったく効果がなく、逆に市民生活への影響などマイナス面が極めて大きい法案となっています。

 被害が大きい漫画の海賊サイト版対策が必要であることは誰も異論がない事であると思いますが、この改正案が「漫画を海賊版ダウンロードサイトの被害から守る」という効果がほぼ全くない事を漫画家側は熟知しており、日本マンガ学会も団体を挙げて一貫して反対して声明を出しています。

 

風と木の詩』『地球へ…』などの作品で知られる漫画家の竹宮惠子先生は、違法ダウンロードの対象拡大について、漫画だけでなく、二次創作などの研究についても萎縮を招くと懸念を示しています。さらに、二次創作自体の萎縮につながる可能性に触れて、海賊版サイトから被害を受けている漫画家は「二次創作コミュニティとはうまく共存できている」と主張しています。

また『ラブひな』『魔法先生ネギま!』で知られる漫画家の赤松健先生は、違法ダウンロードの対象が静止画などへ拡大すると、「私も自分のHDDの中にたくさんのイラスト画像を保存している。特にスポイトツールを使い、先人の作った色合いを参考にすることが多い。これがダメになると、日本のカラーCGイラスト界、商業漫画家やイラストレーターは壊滅する」と、、漫画家の創作活動にも影響が出ると警鐘を鳴らしています。

出典元:『「意味のない法改正」「イラスト界が壊滅する」 違法ダウンロード対象拡大で漫画家らが“反対集会”』ITmedia NEWS 2019年02月08日

 

このような乱暴な立法に対して知的財産・著作権法の専門家団体である、「一般財団法人 情報法制研究所(JILIS)』は『ダウンロード違法化の全著作物拡大に対する懸念表明と提言』を発表しました。

「乱暴な立法方針から転換すべき。静止画ダウンロード違法化案(著作権法改正案)は、民事・刑事を問わず、「原作のまま」かつ「著作権者の利益が不当に害される場合」に限ることを明記すべき」と強い懸念を示しています。
(注:”「原作のまま」かつ「著作権者の利益が不当に害される場合」に限る”という構成要件は、TPP条約で成立した著作権非親告罪化と同じ要件です。)

出典:JILIS 一般財団法人 情報法制研究所「ダウンロード違法化の全著作物拡大に対する懸念表明と提言」
https://www.jilis.org/proposal/data/2019-02-08.pdf


また、こんな問題もあります。

2.誰も彼もが違法ダウンロード犯になる恐れがあります(違法化の対象を確定的故意に限定していない)。
恐らくネットを使用している人の中で、アップロードされた静止画やテキストをダウンロードしたことがないという人は、まずいないでしょう。保存した画像の中には、権利者に無断でアップロードされたものも混ざっているでしょう。
また著作権侵害が行われているのかどうかを、第三者が検証するために、当該著作物をダウンロードするのも違法化されます。

たとえば国会議員の先生が「僕はこんないい仕事をしました!」と新聞の切り抜きを撮影したものをホームページに載せたり、ツイッターにアップロードしているのはよくあることですが、この法律が施行された場合は(取り締まりの対象が海賊版サイトに限定されないので)、有権者がそれをスマホやパソコンに保存した場合、保存した人はそれだけで犯罪者になってしまいます。

すなわち静止画・テキストなどの全著作物ダウンロード違法化する、「静止画ダウンロード違法化案(著作権法改正案)」とは、日本国民全員を潜在的犯罪者にする法規制です。


3.憲法で保障された『通信の秘密』が侵害されます。
文化庁文化審議会著作権分科法制・基本問題小委員会の報告書では、ダウンロード違法化の効果をより高めるために「アクセス警告方式」の導入を主張しています。
「アクセス警告方式」とは、ユーザーが海賊版サイトにアクセスしたら、警告を発するというものですが、これにはユーザーのアクセス(通信)を傍受し、監視する必要が出てきます。
しかし憲法21条にはこう書いています。


日本国憲法第21条 第2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

文化庁は漫画海賊版対策という名目で、憲法違反の政策・立法化までしようとしているのです。

出典元:
文化庁文化審議会著作権分科法制・基本問題小委員会報告書P82
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2019/02/05/a1413423_02.pdf

 ・その他、盗用論文や剽窃論文の検証が不可能になり、裁判の証拠集めに支障が出ます。

「ダウンロード違法化の全著作物拡大に対する懸念表明と提言」については、有用な資料であると考え、この手紙に同封いたしました。

 (著者注:上記「ダウンロード違法化の全著作物拡大に対する懸念表明と提言」を陳情の手紙に同封することをおすすめします。)

本法案は議論が全くない状態で文化庁から立法の場に提出されようとしており、強く反対する旨を先生にお伝え致します。このような法案をそのまま通すことは避け、著作権者の利益が不当に害される事を防ぐための法律に正していただきますよう、謹んで申し上げます。

 

以上、僭越ながら私の意見を述べさせていただきました。

お忙しいにも関わらず、私の拙い意見を読んでいただき、誠にありがとうございました。

乱筆乱文については、ご容赦願います。

ではこの辺で失礼させていただきます。

草々

平成31年〇月〇日

氏名:(ここに自分の本名を書きます)

住所:(ここに自分の住所を書きます)

TEL:(ここに自分の電話番号を書きます。携帯の番号で構いません)

E-mail:(ここに自分のメールアドレスを書きます)

 (陳情の手紙、手本はここまでです)